持ち家or借家

不動産広告などを見ると、「高い家賃を払うより、持ち家をがオトク」なんていうコピーにお目にかかることがある。

なるほど、月10何万円を家賃か、持ち家のローンかと考えた場合、当然、持ち家はローンが終われば、自分のものになるが、借家は一生他人の家のままである。

しかし、持ち家は10年に一度の水周りの補修、外壁や屋根の補修、固定資産税などもあり、ローンだけの支払いではすまない。

損得の決着をつける前に、住まいにどのような価値観を持つか、も考えないといけないのだろう。

私は建築の専門家ではないので、エラソーなことは言えないが、連れ合いが建築関連(正確には都市計画)の仕事をしているため、住まいについてはつねづね頑固なポリシーを聞かされる。

彼は日本の都市を快適に過ごすには、良質な借家を供給するという政策が望ましいという。都市は土地が高いため、持ち家で満足のいく住まいを手に入れるのは難しく、しかも長期ローンにしばられる。その点、良質な借家で適正な家賃を設定すれば、快適さを約束されるというわけである。

庭付き一戸建てやマンションなど、借家のバリエーションが広がれば、ライフスタイルに合わせて選ぶことができるし、家を売るという大変な作業がないから、引越しもラク。ローンでしばられるという息苦しさもない。

というわけで、夫のポリシーに付き合って、うちはずっと借家である。しかし、あるとき借家と持ち家の損得について夫に聞いたら「そら、借家は損やろ」とことなげに言った。えっ? 昔は借家も持ち家もトントンやと言っていたのに、そうじゃなかったのか。夫が借家を支持する理由の半分は「ローンを払うのがイヤ」で銀行に儲けさせるのは腹が立つんだそうな。

ふーん。まあいっか。今の家は分不相応の借家で、植木屋さんに来てもらわないと庭の手入れができないほど大きい。空間の広さは申し分ないが、しかし目が飛び出るほどの高い家賃を払っている。

次は平屋で小さな庭つきの家がいいなあと楽しみにしながら、毎月やりくりに追われている(あーしんど)。