ないものを補う 

人のカラダが何かの理由で欠損した場合、できることなら「補う」に限る。

たとえば、永久歯を抜いた後は大変困る。放っておくと歯並びが悪くなるし、ひいては頭蓋骨が歪む原因にも。それ以前に噛めないから不便なこと、この上にない。

私も欠損した歯の後について困っていたが、ひょんなことからインプラントをすることになった。悩みに悩んでというより、インプラントの大先輩である姉(その事実は最近知った)が「楽やでぇ」というものだから、「ほんじゃあ、やってみよっか」という軽いノリで手術をすることになった。

手術日は7月25日。世間は天神祭だというのに、私は2本分の手術代(芯を入れる代金472,500円)をかばんに入れ、歯科へと急いだ。

担当医は30代前半か、よくいっても半ばの男性で、物腰の丁寧な人。麻酔を打って10分ほどで、メスで歯茎を切り開いた。部分麻酔だから、切っているカンジがよくわかる。そして骨が出たところで、ガリガリと平らにし、それからドリルで芯(チタン製)を入れるための穴を開ける。

「おー削っている」。まだ削っている。削られている感覚は不快ではなく、むしろ歯で噛んでいるような感覚があり、懐かしい。

しかし、2本穴を開けるのに1時間半かかった。女性では普通30分で済むのに、私の骨は相当硬いらしい。ドリルの回転数を上げると骨に熱が加わって組織が死ぬから、ゆっくりでしか進まない。

麻酔が切れるリミットが2時間。ようやく芯を入れ、歯茎を縫っていくのだが、あ〜麻酔が切れそう。
ちょっと痛みを我慢し、ようやく手術は終了した。

芯が定着するまで約6週間というが、私の場合は骨が硬いので早いかもしれないという。
骨密度の高さが今回の手術で証明されたのは、うれしい収穫である。

インプラントの経過については随時綴っていきたい。